家眷
かけん
名詞
標準
文例 · 用例
や、じゃが、家眷親属の余所で見る眼には、鼻筋の透った、柳の眉毛、目を糸のように、睫毛を黒う塞いで、の、長煩らいの死ぬ身には塵も据らず、色が抜けるほど白いばかり。
— 泉鏡花 『陽炎座』 青空文庫
さまで痩せもせず、苦患も無しに、家眷息絶ゆるとは見たれども、の、心の裡の苦痛はよな、人の知らぬ苦痛はよな。
— 泉鏡花 『陽炎座』 青空文庫
その髪千筋一筋ずつ、獣が食えば野の草から、鳥が啄めば峰の花から、同じお稲の、同じ姿|容となって、一人ずつ世に生れて、また同一年、同一月日に、親兄弟、家眷親属、己が身勝手な利慾のために、恋をせかれ、情を破られ、縁を断られて、同一思いで、狂死するわいの。
— 泉鏡花 『陽炎座』 青空文庫
その誰もが皆揃うて、親兄弟を恨む、家眷親属を恨む、人を恨む、世を恨む、人間五常の道乱れて、黒白も分かず、日を蔽い、月を塗る……魔道の呪詛じゃ、何と!
— 泉鏡花 『陽炎座』 青空文庫
おそろしい祟りはそれからそれへと手をひろげて、津の国屋の一家眷属にわざわいするのではあるまいか。
— 津の国屋 『半七捕物帳』 青空文庫
以上は茶山が蘭軒の家眷宗族のために言つたのである。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
』と丑松は少年の横顔を熟視り乍ら、『君はねえ、家眷の人の中で誰が一番好きなんですか――父さんですか、母さんですか。
— 島崎藤村 『破戒』 青空文庫
」「親子兄弟、一家眷族を、みんな打負してしまうんだ。
— 豊島与志雄 『溺るるもの』 青空文庫