杣人
そまびと
名詞
標準
文例 · 用例
やつと湯の沢といふところへ下つて、杣人と道連れになつて、坂本の宿場に急いだ。
— 種田山頭火 『旅日記』 青空文庫
それほど、その二人の男には密林の形容が具わってきて、朴訥な信心深い杣人のような偉観が、すでに動かしがたいものとなってしまった。
— 小栗虫太郎 『白蟻』 青空文庫
そして杣人足の一組に天神橋と難波橋との橋板をこはせと言ひ付けた。
— 森鴎外 『大塩平八郎』 青空文庫
見れば天神橋をこはしてしまつて、こちらへ廻つた杣人足が、今難波橋の橋板を剥がさうとしてゐる所である。
— 森鴎外 『大塩平八郎』 青空文庫
さて杣人一日山に入りて儲けなく、ちょっと入りて大儲けする事もあればこれも魔物なり。
— 蛇に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
杣人山中で栗鼠に会うに、杣木片すなわち斧で木を伐った切屑また松毬を投げ付けると、魔物同士の衝突だからサア事だ、その辺一面栗鼠だらけになると。
— 蛇に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
言って見れば、この地方の遠い古は山にたよって樵務を業とする杣人、切り畑焼き畑を開いて稗蕎麦等の雑穀を植える山賤、あるいは馬を山林に放牧する人たちなぞが、あちこちの谷間に煙を立てて住む世界であったろう。
— 第二部下 『夜明け前』 青空文庫
杉丸太を背負ひて山を下り行く杣人あり、いづこへ行くぞと案内の娘に尋ねたるに、あれは吉野川へ行くものなりといふ。
— 島崎藤村 『山家ものがたり』 青空文庫