焙
焙
名詞
標準
文例 · 用例
それに比べると、夏の富士は、焙烙色に赭ッちゃけた焼け爛れを剥き出しにした石山であるのに、この水々しさと若さは、どうしたものであろう。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫
「水が飲みたあい」 と、炎天の下で乾物になりさうな程も、焙られて怒鳴りながら駆けて、帰つた子供たちは、井戸に飛びついてポムプを押すのだが、井戸からは一滴の水も出ないのだ。
— 葉山嘉樹 『井戸の底に埃の溜つた話』 青空文庫
「それでも隣の家の井戸からは、フンダンに水が出るが」 と云ふと、「わしは、その隣の井戸を覗いた訳ではない」 酒屋の景品券じやあるまいし、この因業家主は店子を「焙り出す」心算でゐるのだ。
— 葉山嘉樹 『井戸の底に埃の溜つた話』 青空文庫
そこで、焙り出されかけた家の子供等は、「水」と云ふものに、原始アラビア人が覚えた程も、驚異と礼讚の念を抱くやうになつたのである。
— 葉山嘉樹 『井戸の底に埃の溜つた話』 青空文庫
陽光がやけに鋭く、砂利を焙った。
— 葉山嘉樹 『乳色の靄』 青空文庫
その上を自動車や、電車や、人間などが、焙烙の上の黒豆のように、パチパチと転げ廻った。
— 葉山嘉樹 『乳色の靄』 青空文庫
焙られるような苦熱からは解放されたが、見当のつかない小僧は、彼に大きな衝撃を与えた。
— 葉山嘉樹 『乳色の靄』 青空文庫
強い奴を腹ん中へ入れといて、上下から焙りゃこそ、あの位に酔っ払えるんじゃねえか」「うまくやってやがらあ、奴あ、明日は俺達より十倍も元気にならあ」「何でも構わねえ。
— 葉山嘉樹 『労働者の居ない船』 青空文庫