奇事
きじ
名詞
標準
文例 · 用例
そして又武帝の身の内にも臧兒の血や感情が流れ、しかも目前の奇事實を是認するよりほか無い心持が潜存してゐたらう事も爭ひ難いのである。
— 幸田露伴 『道教に就いて』 青空文庫
九、怪奇事件の知識――計り知れない。
— A STUDY IN SCARLET 『緋のエチュード』 青空文庫
化学は偏重、解剖は体系的でなく、怪奇事件と犯罪記録は及ぶものなし。
— THE FIVE ORANGE PIPS 『橙の種五粒』 青空文庫
奇事奇談といふやうなものにもあまり出遇はなかつた。
— 木下杢太郎 『京阪聞見録』 青空文庫
しかし此に猶一奇事の附載すべきものがある。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
この著作は一度に脱稿したものではなく、最初に『陽続録』六巻を編み、あわせて二十四巻に及んだものを集成して、『閲微草堂筆記』の名を冠らせたのでありまして、実に一千二百八十二種の奇事異聞を蒐録してあるのですから、とても一朝一|夕に説き尽くされるわけのものではありません。
— 閲微草堂筆記(清) 『中国怪奇小説集』 青空文庫
文禄五年筆『義残後覚』四に、四国遍路の途上船頭が奇事を見せんという故蘆原にある空船に乗り見れば、六、七尺長き大蛇水中にて異様に旋る、半時ほど旋りて胴中|炮烙の大きさに膨れまた舞う内に後先各二に裂けて四となり、また舞い続けて八となり、すなわち蛸と化りて沖に游ぎ去ったと見ゆ。
— 蛇に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
由って女も慙じて自ら陰を撞いて薨ずとあるを、何かの譬喩のように解かんとする人もあるようだが、他部族の男の種を宿さぬよう麁末な手術を仕損じてか、とにかくその頃の婦女にはかようの死様が実際あったので、現今見るべからざる奇事だから昔の記載は虚構だと断ずるの非なるは先に論じた。
— 蛇に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫