金円
きんえん
名詞
標準
money
文例 · 用例
ぢや一円も出さう」「日当、俥代なども入つてゐるのですから五円ばかり」「五円なんと云ふ金円は有りはせん」「それぢや、どうも」 彼は遽に躊躇して、手形用紙を惜めるやうに拈るなりけり。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
その際松竹より提出せし金円は著作権法改正運動に使用する条件を附して劇作家協会に寄附する。
— 宮本百合子 『山本有三氏の境地』 青空文庫
今の官立校とて、いたずらに金円を浪費乱用するというには非ざれども、事の官たり私たるの別によりて、費用もまたおのずから多少の差あるは、社会にまぬかれざるところにして、世人の明知する事実なれば、今回もし幸にして官私の変革あらば、国庫より見て学校の資本は必ず豊なるをさとることならん。
— 福沢諭吉 『学問の独立』 青空文庫
その理由の一つは、大正七年以来久しく北満市場唯一の信用通貨である日本金円を、近年張長官が軍権と警察権の暴力を以て通用を禁止し、奉天軍閥の資金捻出を目的に濫発を重ねた不換紙幣「哈爾賓大洋」の訓令相場を内外の取引に強制してゐる為めである。
— 附 満蒙の歌 『満蒙遊記』 青空文庫
『正造一己の生活に就ては、多年諸君の御厚遇を蒙り、御恩借の金円も少からずして、未だ返納も不仕ものなれば、その歳費辞退の手続を為すの前に於て、一々御協賛を経べきの所、国務多端寸時を争ふの折柄に候へば、遂に御協賛も不得辞退の手続を了したるの事情、幾重にも御推察被下度。
— 木下尚江 『政治の破産者・田中正造』 青空文庫
何かの底意がなければ、なにがしの金円を人に差上げるものではありませんな。
— ――ゴロー三船とマゴコロの手記―― 『ジロリの女』 青空文庫
媼の家の屋根裏には大戦で逃げた留学生の荷がまだ残つてゐるといふことであつたが、その留学生諸氏は、独逸の敗戦後媼の貧窮を気の毒に思つて金円を贈つて来たほどである。
— 斎藤茂吉 『日本媼』 青空文庫
此は台石に三遊連と朱書されてゐるところを見ると、往昔全盛を誇つた三遊派の同僚花形たちはこの明治開化一代の人気者のために金円を投じ合つて墓表を建立したものかも知れない。
— 正岡容 『巣鴨菊』 青空文庫