濺
濺
名詞
標準
文例 · 用例
「我を贖う者」は我の弁護者(我を義なりと証して我の汚名を濺いでくれる者)の意である。
— 内村鑑三 『ヨブ記講演』 青空文庫
あるいは富山に赴き、高岡に買われ、はた大聖寺福井に行き、遠くは故郷の新潟に興行し、身を厭わず八方に稼ぎ廻りて、幸いにいずくも外さざりければ、あるいは血をも濺がざるべからざる至重の責任も、その収入によりて難なく果たされき。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
雲の行くかた 雲東に行けば車馬通じ、雲西に行けば馬泥を濺ぎ、雲南に行けば水潭に漲り、雲北に行けば麦を晒すに好し、と支那にては云ひならはしたるに、雲北に行けば雨ふるもののやう歌へる和歌のあるもをかし。
— 幸田露伴 『雲のいろ/\』 青空文庫
もしこのままにて自然この秘密の発覚することもあらば、妾は生きて再び両親にも見えがたかるべしなど、涙と共に掻口説き、その後また文して訴えけるに、彼も内心穏やかならず頗る苦慮の体なりしが、ある時は何思いけん児を抱き上げて、その容貌を熟視しつつハラハラと熱き涙を濺ぎたりき。
— 福田英子 『妾の半生涯』 青空文庫
次に思ひ出したるは我が心血を濺ぎたる詩なり。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
涙にやありし、又窓の下なる石垣に中りし波の碎け散りて面に濺ぎたるにやありし。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
俊男はまた俊男で、素知らぬ顏で降濺ぐ雨に煙る庭の木立を眺めてゐた。
— 三島霜川 『青い顏』 青空文庫
」 少女は驚き感ぜしさま見えて、余が辞別のために出したる手を唇にあてたるが、はら/\と落つる熱き涙を我手の背に濺ぎつ。
— 森鴎外 『舞姫』 青空文庫