耄及
耄及
名詞
標準
文例 · 用例
活字本や慶安版本が何によったかは知らぬが、『春曙抄』は耄及愚翁の本によって校訂したといわれている(2)。
— 和辻哲郎 『日本精神史研究』 青空文庫
この耄及愚翁本は奥書きに安貞二(一二二八)年の年号があるものであって、足利尊氏に擁立せられた後光厳院よりは少なくとも二、三十年は古い。
— 和辻哲郎 『日本精神史研究』 青空文庫
学問の比較的盛んであった南北朝の宮中にもし宸翰本のごとき『枕草紙』が伝わっていたとすれば、他方にこれと全然構造を異にする耄及愚翁本が存したということは、はなはだ理解し難いことである。
— 和辻哲郎 『日本精神史研究』 青空文庫
自分は古写本についての知識はないが、たとい耄及愚翁本が安貞二年のものに相違ないとしても、それを転写した古写本が耄及愚翁本の原形を正確に伝えているということは断言し得られぬと思う。
— 和辻哲郎 『日本精神史研究』 青空文庫
たとえば応仁の乱の際には無数の典籍が焼かれたが、幸いに耄及愚翁本は助かったとする。
— 和辻哲郎 『日本精神史研究』 青空文庫
天正、慶長のころに少しく学問のあるものがこれを見いだして、その紙を自分の考えによって整理し、それを写したと仮定すれば、転写の原本は耄及愚翁の自筆に相違なくその奥書きも真正なものに相違ないとしても、なおその原本写本ともに本来の秩序を伝えていないということは十分あり得るのである。
— 和辻哲郎 『日本精神史研究』 青空文庫
しかしこの種の想像はさらにさかのぼって耄及愚翁が転写したその原本にも及ぼせるかも知れぬ。
— 和辻哲郎 『日本精神史研究』 青空文庫
かく見れば耄及愚翁本が当初よりすでに秩序の混乱した『枕草紙』を『枕草紙』として取り扱った、ということもあり得るのである。
— 和辻哲郎 『日本精神史研究』 青空文庫