狂わしい
くるわしい
形容詞
標準
文例 · 用例
見習弟子はもう二十歳になっていて、白い乳房を子供にふくませて転寝しているお君の肢態に、狂わしいほど空しく胸を燃やしていたが、もともと彼は気も弱くお君も問題にしなかった。
— 織田作之助 『雨』 青空文庫
見習弟子はもう二十才になっていて、夏の夜なぞ、白い乳房を豹一にふくませながらしどけなく転寝しているお君の肢態に、狂わしいほど空しく胸を燃していたが、もと/\彼は気も弱く、お君も勿論彼の視線の中に男を感じたりはしなかった。
— 織田作之助 『雨』 青空文庫
春先の植物界はどんなに恐ろしく物狂わしいものであろう。
— 寺田寅彦 『春六題』 青空文庫
木村父子は何も越中立山から日本アルプスを越えて徳川家康と秀吉を挟撃する相談をした内蔵介成政ほどの鼬花火のような物狂わしい火炎魂を有った男でも無いし、それを飛離れた奥地に置いた訳は一寸解しかねる。
— 幸田露伴 『蒲生氏郷』 青空文庫
実子の姫君であったならこんな物狂わしい計らいはしないであろうと思われる。
— 蛍 『源氏物語』 青空文庫
それによると、算哲・ディグスビイ・テレーズと――この三人の間に、狂わしい三角恋愛関係のあった事が明らかになります。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
しかし法水は、その狂わしい感覚を振りきって叫んだ――「開閉器を、灯を!
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
滝人は、もう前後が判らなくなってしまったが、絶えずその間も、熱に魘されて見る、幻影のようなものがつき纏っていて、周囲の世界が、しだいに彼女から飛びさるように思われると、そのまま滝人は、狂わしい肉情とともに取り残されてしまったのである。
— 小栗虫太郎 『白蟻』 青空文庫