物の哀れ
もののあわれ異読 もののあはれ
表現名詞多音語
標準
mono no aware
文例 · 用例
物の哀れというのも安直な感傷や宋襄の仁を意味するものでは決してない。
— 寺田寅彦 『俳諧の本質的概論』 青空文庫
心は安く、気はかろし、揺れ揺れ、帆綱よ、空高く…… 私の今度の航海は必ずしも物の哀れの歌枕でも世の寂栞を追い求むる風狂子のそれでもなかった。
— 北原白秋 『フレップ・トリップ』 青空文庫
笛は鳴る、夜の笛より昼の音色のわびしさを、公卿の物の哀れよりも弥さらに病児の温かいその吐息を、私の神経は悲しむ、而して葱のあたまに縺るる白い羽虫のやうに羽ばたく。
— 北原白秋 『桐の花』 青空文庫
枯れ芝の中に花さく蕗の薹を見いでて、何となしに物の哀れを感じ侍る。
— 寺田寅彦 『柿の種』 青空文庫
あくまでも強きは男子の常なれど、武士もしかすがに、物の哀れは知れり。
— 大町桂月 『日月喩』 青空文庫
なほ物の哀れをとゞめたるは、里見長九郎弘次の身の上也。
— 大町桂月 『國府臺』 青空文庫
男女の仲を知ることは、物の哀れを知ることだと昔の人も言つてゐるが、私は、『物の哀れ』どころではない、男女の心理の生滅の中から深い貴い不可思議な真理をさがすことが出来ると思つてゐる。
— 田山録弥 『生滅の心理』 青空文庫
すべり轉がる玉の上に、暗き樂屋に、汗|臭き馬の背に、道化芝居の花道に、玉蜀黍を噛みしむる、收穫の日の盲目のわかき女に見るごとく、物の哀れをしみじみと思ひ知るらむ、淺艸の秋の匂に。
— 北原白秋 『思ひ出 抒情小曲集』 青空文庫
作例 · 標準
古い日本の文学作品には、もののあわれを感じさせる描写が多い。
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散りゆく桜を見て、日本人はもののあわれの心を感じる。
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歴史的建造物を見ると、いにしえの人々のもののあわれが偲ばれる。
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