ぐうの音も出ない
ぐうのねもでない
表現形容詞
標準
being lost for words
文例 · 用例
……父は、そう心の中で呟き、しかし、それを言い出す自信も無く、また、言い出して母から何か切りかえされたら、ぐうの音も出ないような気もして、「誰か、ひとを雇いなさい」 と、ひとりごとみたいに、わずかに主張してみた次第なのだ。
— 太宰治 『桜桃』 青空文庫
一日も早く彼らの正体を見あらわして、ぐうの音も出ないように退治付けてやらなければ、自分の胸が納まらないのであった。
— 岡本綺堂 『真鬼偽鬼』 青空文庫
動かぬ証拠を右門流で見破って、ぐうの音も出ないようにする以外手段はないのです。
— 左刺しの匕首 『右門捕物帖』 青空文庫
もう一つには、かれらが意地悪くわれわれを困らせようとするのであるから、すぐにその註文通りのものを拵えあげて、かれらにぐうの音も出ないようにしてやろうという意地もあった。
— 岡本綺堂 『明治劇談 ランプの下にて』 青空文庫
(妹が、喜ぶだろう) と、思うと同時に、もし、妹の子の久光が島津の当主になったなら、俺は、益満も、この小僧も、ぐうの音も出ないような身分になれるんだ、と考えた。
— 直木三十五 『南国太平記』 青空文庫
「鬼倉といふのは女を二人置いとるさうぢやないか」「それがね、どうも本妻と妾を二人いつしよだといふ話だが、――なにしろ荒いのでね、二人ともぐうの音も出ないで温和しくしとるらしい。
— 田畑修一郎 『医師高間房一氏』 青空文庫
それで、実は、二人そろっておわびに上ったわけなんですが……」 次郎は、父はどうして番頭の肥田のことを言い出さないのだろう、肥田のことを言い出せば、お内儀はぐうの音も出ないだろうのに、と思った。
— 第三部 『次郎物語』 青空文庫