母思い
ははおもい
名詞
標準
文例 · 用例
母思いのむす子は、母の前では母に厳しく、母の陰では母が自慢であった。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
ただ蔵経はかなり豊富だったので、彼は猛烈な勉強心を起こして、三七日の断食して誓願を立て、人並みすぐれて母思いの彼が訪ね来た母をも逢わずにかえし、あまりの精励のためについに血を吐いたほどであった。
— ――予言僧日蓮―― 『学生と先哲』 青空文庫
「静物は林檎のことと母思い」とはこれもまた誰の作った川柳か私は知らないが、以前はまったく林檎が静物である位皆林檎を描いた時代があった。
— 小出楢重 『めでたき風景』 青空文庫
このオトタツという娘には、盲目(あるいはそうでなかったとも言いますが)の母親がありましたが、非常な母思いの娘でありましたから、鉱山の炊事場の流し下に落ちた飯を拾って帰っては母親を養っておったとも言います。
— 佐々木喜善 『東奥異聞』 青空文庫
「おふくろの年が年なので、郷里は離れられない」 と、老母思いな方へ話は移ってしまう。
— 吉川英治 『新・水滸伝』 青空文庫
秀吉の母思いな天性は、骨肉すべてに及んでいた。
— 第九分冊 『新書太閤記』 青空文庫
その尼公の病因は、しばしば、子の高時の盲愛に迷うためといわれているが、高時も母思いでないことはない。
— 八荒帖 『私本太平記』 青空文庫
親も女房もないせいか、あいつの伯母思いは、誰でも知っておりますんで」「まあいい、怠け者には、藩としても、それだけの労しか認めないまでのことだ」 慎吾は、七之助のいい評判をここで引き出そうとは思わない。
— 吉川英治 『銀河まつり』 青空文庫