成り勝る
なりまさる
動詞
標準
文例 · 用例
学問というものに興味がなく、従って成績のおもしろくなかった君が、芸術に捧誓したい熱意をいだきながら、そのさびしくなりまさる古い港に帰る心持ちになったのはそのためだった。
— 有島武郎 『生まれいずる悩み』 青空文庫
それをいぶかる君自身すら、心がただわくわくと感傷的になりまさるばかりで、急いで働かすべき手はかえって萎えてしまっていた。
— 有島武郎 『生まれいずる悩み』 青空文庫
君はひとりになると、だんだん暗い心になりまさるばかりだった。
— 有島武郎 『生まれいずる悩み』 青空文庫
木部の葉子に対する愛着が募れば募るほど、葉子は一生が暗くなりまさるように思った。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
┌ふと時をり木賊の蔭を真白き猫耳立ててをどり何の気はひなき(28)┤ └うつつなく木賊にうつる秋日の蝶驚きて立てど何の気はひなき それにうれしいのは、渋く寂びしくなりまさる私の観想の中に、再び忘れられてゐたあの「桐の花」の明るさが目に立つて還つて来たやうなけはひがする。
— 北原白秋 『雀の卵』 青空文庫
西東長短の袂を分かって、離愁を鎖す暮雲に相思の関を塞かれては、逢う事の疎くなりまさるこの年月を、変らぬとのみは思いも寄らぬ。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
しらべ繁くなりまさるにつれて、あさ霞の如きいろ、姫が瞼際に顕れ来つ。
— 森鴎外 『文づかひ』 青空文庫
しらべしげくなりまさるにつれて、あさ霞のごときいろ、姫が臉際にあらわれきつ。
— 森鴎外 『文づかい』 青空文庫