髪引
かみひき
名詞
標準
文例 · 用例
どうにも後ろ髪引かれる思いで、私は自分の衣類が積まれた手荷物車の走り去る後ろ姿を見ていたが、そのときホームズがこちらの袖を引っ張って、反対側の鉄路の先を指出した。
— THE FINAL PROBLEM 『最後の事件』 青空文庫
事のついでに主水之介自ら手を下して、うぬも一緒に坊主にしてやろうぞ」 すいと泳いでその襟髪引ッ捕えながら、早くもすでにプツリ髻を切ってすてました。
— 日光に現れた退屈男 『旗本退屈男 第八話』 青空文庫
いまだ左程に疲れもやらぬ正午下りの頃ほひより足の運び俄かに重くなりて、後髪引かるゝ心地しつ。
— 夢野久作 『白くれない』 青空文庫
男はとうとう怒り出し、吾れと吾が髪引掴み、 赤く血走る眼を挙げて、遠い青空|睨みつつ、 大声揚げて泣きながら、天も響けと罵った。
— 夢野久作 『白髪小僧』 青空文庫
チョビ安とお美夜ちゃんへの愛に、うしろ髪引かるる思い……が、それも、一期の思い出に名作を残そうとする、心のちかいの前には、たち切らざるをえなかった。
— 日光の巻 『丹下左膳』 青空文庫
母、遠くから見ると黒メガネをかけ、束髪引つめで、白粉はついて居るがいたってやつれて居る。
— 一九二九年(昭和四年) 『日記』 青空文庫
後ろ髪引かるる思ひ為ぬは無し。
— 與謝野晶子 『晶子詩篇全集』 青空文庫
鐵道の近き第一公園の梅依々として清香を送るに、後髮引かるゝ心地のみせられぬ。
— 大町桂月 『水戸觀梅』 青空文庫