矢立て
やたて
名詞
標準
文例 · 用例
そこにあった矢立てをとると、懐紙へさらさらと、次のごとき一書をかきしたためました。
— 七化け役者 『右門捕物帖』 青空文庫
ダメス王の鼻の前には一基の天秤がありまして、豹の頭を持ったマスピス神が鼻の罪量を計るべく跪き、その直ぐうしろには記録係タータが矢立てを持って、眼を瞠り耳を澄まして突立っております。
— 夢野久作 『鼻の表現』 青空文庫
寿平次は下女がさげて来てくれた行燈を引きよせて、そのかげに道中の日記や矢立てを取り出した。
— 第一部上 『夜明け前』 青空文庫
」 お隅がそれを半蔵に言って見せると、多吉は苦笑いして、矢立てを腰にすることを忘れずに深川米の積んである方へ出かけて行くような人だ。
— 第一部下 『夜明け前』 青空文庫
どこへ行くにも矢立てを腰にさして胸に浮かぶ発句を書き留めることを忘れないようなところは、風狂を生命とする奇人伝中の人である。
— 第二部下 『夜明け前』 青空文庫
やがてその手に、紙綴りと矢立てをつかんでいた。
— 本庄陸男 『石狩川』 青空文庫
削った白い標木に、矢立ての墨をたっぷり含ませて、筆も折れよと書いたのである。
— 本庄陸男 『石狩川』 青空文庫
」 ふたつ折りの紙をひらくと、さらさらと矢立てを走らせたらしい墨のあと。
— 林不忘 『煩悩秘文書』 青空文庫