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海波

かいは
名詞
1
標準
文例 · 用例
しだいに暮れゆく海波の上既に分列の任務を終へて艦等みな歸港の情に渇けるなり。
萩原朔太郎 氷島 青空文庫
一時間九ノットの速力も、この船全体をその権力の下に支配する、船長の心理に及ぼす影響は、このブリッジにのぼって、一望ただ海波であり、一船これわが配下である時に、決してのろい速力ではなかった。
葉山嘉樹 海に生くる人々 青空文庫
海波静かにて、波も動かぬ時津風、枝を鳴らさぬ御代なれや、と勿体ない、祝言の小謡を、聞噛りに謳う下から、勝負!
泉鏡花 草迷宮 青空文庫
金屏風を引繞らした、四海波静に青畳の八畳で、お珊自分に、雌蝶雄蝶の長柄を取って、橘活けた床の間の正面に、美少年の多一と、さて、名はお美津と云う、逢阪の辻、餅屋の娘を、二人並べて据えたのである。
泉鏡花 南地心中 青空文庫
思えば、きょう、あけがたの夢に、千羽の鶴が空に舞い、四海波押しわけて万亀が泳ぎ、」と、うっとりと上目使いして物語をはじめながら、お金を帯の間にしまい込んで、「あの、本当でございますよ、旦那。
太宰治 新釈諸国噺 青空文庫
大阪から例の瀬戸内通いの汽船に乗って春海波平らかな内海を航するのであるが、ほとんど一昔も前の事であるから、僕もその時の乗合の客がどんな人であったやら、船長がどんな男であったやら、茶菓を運ぶボーイの顔がどんなであったやら、そんなことは少しも憶えていない。
国木田独歩 忘れえぬ人々 青空文庫
いよいよ日本海に出ずれば、渺茫として際涯なく黒い海面は天に連なり、遥か左方は親知らず子知らずの辺ならん、海波を隔てて模糊の間に巉巌の直ちに海に聳立っている様が見える。
井沢衣水 本州横断 痛快徒歩旅行 青空文庫
霎時にして海上を見渡せば、日は已に没し、海波暗くして怒濤砂を捲き、遥か沖合には漁火二、三。
井沢衣水 本州横断 痛快徒歩旅行 青空文庫