酔月
よいつき
名詞
標準
文例 · 用例
新酔月の料理も二口三口召上って見て、犬にくれました。
— 島崎藤村 『旧主人』 青空文庫
彼女は新橋で売れた芸者であったが、日本橋区の浜町河岸に「酔月」という料理店をだした。
— 長谷川時雨 『明治美人伝』 青空文庫
こういう横町の二階の欄干から、自分は或る雨上りの夏の夜に通り過る新内を呼び止めて酔月情話を語らせて喜んだ事がある。
— 永井荷風 『銀座』 青空文庫
お帰りは丁度|夕涼の刻限かと存じまして先ほど木挽町の酔月へつまらぬものを命じて置きました。
— 永井荷風 『散柳窓夕栄』 青空文庫
酔月から取寄せた料理の重詰を開き川水に杯を洗いながら、頻に絶景々々と叫んでいたが、肝腎な種彦一人は大暑の日中を歩みつづけた老体につかれを覚えた故か、何となく言葉少く、片肱を舷に背を胴の間の横木に寄せかけたまま、簾越しに唯ぼんやり遠い川筋の景色にのみ目を移していた。
— 永井荷風 『散柳窓夕栄』 青空文庫
珈琲店 醉月坂を登らんとして渇きに耐へず蹌踉として醉月の扉を開けば狼藉たる店の中より破れしレコードは鳴り響き場末の煤ぼけたる電氣の影に貧しき酒瓶の列を立てたり。
— 萩原朔太郎 『氷島』 青空文庫
珈琲店 醉月 醉月の如き珈琲店は、行くところの侘しき場末に實在すべし。
— 萩原朔太郎 『氷島』 青空文庫
川岸の御旅館|醉月の二階の縁側の籐椅子に腰かけて、三田は上り下りの舟を、見迎へ見送つて居た。
— 水上滝太郎 『大阪の宿』 青空文庫