海水帽
かいすいぼう
名詞
標準
bathing cap
文例 · 用例
小走りに急いで来る、青葉の中に寄る浪のはらはらと爪尖白く、濃い黒髪の房やかな双の鬢、浅葱の紐に結び果てず、海水帽を絞って被った、豊な頬に艶やかに靡いて、色の白いが薄化粧。
— 泉鏡花 『悪獣篇』 青空文庫
」 と肩を窄めて俯向いた、海水帽も前下り、頸白く悄れて連立つ。
— 泉鏡花 『悪獣篇』 青空文庫
客人は海水帽を脱いだばかり、まだ部屋へも上らず、その縁側に腰をかけながら。
— 泉鏡花 『春昼』 青空文庫
盛装という姿だのに、海水帽をうつむけに被って――近所の人ででもあるように、無造作に見えましたっけ。
— 泉鏡花 『春昼』 青空文庫
ふと葉子は目の下の枯れ葦の中に動くものがあるのに気が付いて見ると、大きな麦桿の海水帽をかぶって、杭に腰かけて、釣り竿を握った男が、帽子の庇の下から目を光らして葉子をじっと見つめているのだった。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
海水衣に海水帽をかぶつた、女学生らしい女の群が、波に軽く体を浮かせながら、愉快さうに毬投をやつてゐるのが彼女には不思議にも羨ましくも思はれた。
— 徳田秋聲 『或売笑婦の話』 青空文庫
五十銭で買ってもらった釣竿を持ち、小さいなつめ形の顔の上に途方もなく大きい海水帽をかぶり――その鍔をフワフワ風に煽らせながら、勇壮に釣に出かける。
— 宮本百合子 『この夏』 青空文庫
そこで、フダーヤは癇癪を起して私を起してしまわないため、よい仲間という名を全うするため、海水帽の鍔を風にはためかせ、釣れぬ釣に出かけるのだ。
— 宮本百合子 『この夏』 青空文庫