青味泥
あおみどろ
名詞
標準
文例 · 用例
探しに出てみますと、庭の外れにある青味泥の浮く小池にうつぶせで見つかって。
— THE FIVE ORANGE PIPS 『橙の種五粒』 青空文庫
「この運動靴の底に、エビ藻とフサ藻が、躙りつけたようなぐあいになってこびりついている……湖や沼の岸にある淡水藻はアオミドロかカワノリ……エビ藻やフサ藻は、湖水の中心部に近いところに生えているのが普通だ……どうしてこんなものが靴底についたか?
— 久生十蘭 『肌色の月』 青空文庫
湖岸の泥深いところを歩きまわったのだとみえ、膝から下が泥だらけになり、靴にアオミドロがついている。
— 久生十蘭 『肌色の月』 青空文庫
野も、畑も、緑の色が、うれきったバナナのような酸い匂いさえ感ぜられ、いちめんに春が爛熟していて、きたならしく、青みどろ、どろどろ溶けて氾濫していた。
— 太宰治 『八十八夜』 青空文庫
罪と罰をアントとして考えたドストの青みどろ、腐った池、乱麻の奥底の、……ああ、わかりかけた、いや、まだ、……などと頭脳に走馬燈がくるくる廻っていた時に、「おい!
— 太宰治 『人間失格』 青空文庫
晩の御馳走は、蛙の焼串、小さい子供の指を詰めた蝮の皮、天狗茸と二十日鼠のしめった鼻と青虫の五臓とで作ったサラダ、飲み物は、沼の女の作った青みどろのお酒と、墓穴から出来る硝酸酒とでした。
— 太宰治 『ろまん燈籠』 青空文庫
鏡を、ふたつ對立させると、鏡の中に、また鏡、そのまた奧に、また鏡、無限につらなり、つひにはその最深奧部に於いて、青みどろ、深淵の底の如く、物影がゆらゆら動いてゐる。
— 太宰治 『「人間キリスト記」その他』 青空文庫
あいつを、あの青みどろを、しかと掴んで計算し、その在りのままの姿を、克明に描寫し、黒白確實に、表現し、それを、やさしい額縁にいれて呈出したい。
— 太宰治 『「人間キリスト記」その他』 青空文庫