紅緑
こうりょく
名詞
標準
文例 · 用例
日の光は形円きトベラノキに遮られて空気|冷やかに風うすく匐ひくねれるサンザシに淡紅緑の芽は蕾み、そのもとに水仙の芽ぞ寸ばかり地を抽きてうち戦ぐ。
— 北原白秋 『春の暗示』 青空文庫
震災前、即ち改築前の大學の庭には此草が毎年繁茂して、五月なかばには紅緑の粒を雜へた可憐な花の穗が夕映のくさむらに目立つた。
— 木下杢太郎 『すかんぽ』 青空文庫
背景になるもちの繁みが黒ずんで来たので、ベコニアの葉の紅緑がくつきりと明るく目立つたのである。
— 木下杢太郎 『本の装釘』 青空文庫
おとなの人々は、多くはその上に黒い紋付を羽織つて居たが、兔に角、七子か羽二重の紋付の裾から紅緑の彩色の高砂の尉姥、三番叟、龜に乘る人、「大漁」の扇を持つ人、また龍宮、寶船、七福神などの模樣の出て居る所は、また南國の海邊に似付かはしい「眞面目」の服裝であると頷かしめる。
— 木下杢太郎 『海郷風物記』 青空文庫
蒲鉾屋は例によつて紅緑の色蒲鉾を並べ、壽司屋の鮨の配列、鳥屋の招牌の澪標、しるこ屋の行燈、饂飩屋の提灯までもみな草雙紙の表紙のやうな一樣の趣味から出來てゐるのである。
— 木下杢太郎 『京阪聞見録』 青空文庫
淋しき花は寒い夜を抜け出でて、紅緑に貧を知らぬ春の天下に紛れ込んだ。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
あらん限りの感覚を鼓舞して、これを心外に物色したところで、方円の形、紅緑の色は無論、濃淡の陰、洪繊の線を見出しかねる。
— 夏目漱石 『草枕』 青空文庫
そしてそこに佐藤紅緑氏を訪うた。
— 田山録弥 『大阪で』 青空文庫