枯れ柳
かれやなぎ
名詞
標準
文例 · 用例
正体と見たは枯れ柳であってみたり、枯れ柳と思ったのが化け物であったりするのである。
— 寺田寅彦 『化け物の進化』 青空文庫
枯れ柳を見て幽霊を認識する類である。
— 寺田寅彦 『疑問と空想』 青空文庫
かた手に数珠をかけている七兵衛は小田原提灯を双子の羽織の下にかくして、神田川に沿うて堤の縁をたどってゆくと、枯れ柳の痩せた蔭から一人の女が幽霊のようにふらりと出て来た。
— 槍突き 『半七捕物帳』 青空文庫
枯れ柳の暗いかげを揺りみだす夜風が霜を吹いて、半七は凍るように寒くなった。
— 松茸 『半七捕物帳』 青空文庫
それから枯れ柳の並木の間に、青黒い瓦斯灯のポールが並んだ狭い街に這入った。
— 夢野久作 『暗黒公使』 青空文庫
人気のない夜更けの大根河岸には雪のつもった枯れ柳が一株、黒ぐろと澱んだ掘割りの水へ枝を垂らしているばかりだった。
— 芥川龍之介 『彼 第二』 青空文庫
泪に濡れた今松の目に、新堀端の枯れ柳が行く手で寒々と揺れていた。
— 正岡容 『寄席』 青空文庫
あとには、路傍の枯れ柳と、大岡市十郎だけが残っていた。
— 吉川英治 『大岡越前』 青空文庫