飲込
いんこみ
名詞
標準
文例 · 用例
」 と呟いて独で飲込み、仰向いて天秤棒を取りながら、「旦那、」「己ら御免だ。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
「お前たちは、」 と主税は呆れた顔で呵々と笑って、「相応に気が利かないのに、早飲込だからこんがらがって仕様がない。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
――老人田舎もののしょうがには、山の芋を穿って鰻とする法を飲込んでいるて。
— ――其一幕―― 『錦染滝白糸』 青空文庫
餅屋が構図を飲込んで、スケッチブックを懐に納めたから、ざっと用済みの処、そちこち日暮だ。
— 泉鏡花 『木の子説法』 青空文庫
……皆まで聞かずと飲込んだ、旦那様帰り引と……ここらは鵜だてね、天幕の逢目をひょこりと出た。
— 泉鏡花 『唄立山心中一曲』 青空文庫
紐解の賀の済だ頃より、父親の望みで小学校へ通い、母親の好みで清元の稽古、生得て才溌の一徳には生覚えながら飲込みも早く、学問、遊芸、両ながら出来のよいように思われるから、母親は眼も口も一ツにして大驩び、尋ねぬ人にまで風聴する娘自慢の手前|味噌、切りに涎を垂らしていた。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
跫音を聞たばかりで姿を見ずとも文三にはそれと解ッた者か、先刻飲込んだニッコリを改めて顔へ現わして其方を振向く。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
先頃もお手飼に狆が欲しいと夫人の御意、聞よりも早飲込み、日ならずして何処で貰ッて来た事か、狆の子一|疋を携えて御覧に供える。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫