秘奥
ひおう
名詞
標準
secrets
文例 · 用例
夜になると、こつちの岸と、向うの岸の半腹に、燈火が螢火のやうについて、神寂びた寺院の廻廊か、大森林の秘奥にともす法燈でもあるかのやうに、ひつそり閑となつて、その間に薬研のやうな天竜の大峡谷があるともおもはれない。
— 小島烏水 『天竜川』 青空文庫
彼は美食に事欠かぬのみならず、天稟から、料理の秘奥を感取った。
— 岡本かの子 『食魔』 青空文庫
道は邇きにありと言ひたるもの、即ち、人間の秘奥の心宮を認めたるものなり。
— 北村透谷 『内部生命論』 青空文庫
人|生ながらにして義務を知るものならず、人生れながらに徳義を知るものならず、義務も徳義も双対的の者にして、社界を透視したる後、「己れ」を明見したるの後に始めて知り得可き者にして、義務徳義を弁ぜざる純樸なる少年の思想が、始めて複雑解し難き社界の秘奥に接する時に、誰れか能く厭世思想を胎生せざるを得んや。
— 北村透谷 『厭世詩家と女性』 青空文庫
秘奥の潜むところ、幽邃なる道眼の観識を待ちて無言の冥契を以て、或は看破し得るところもあるべし、然れども我は信ぜず、何者と雖この「秘奥」の淵に臨みて其至奥に沈める宝珠を探り得んとは。
— 北村透谷 『心機妙変を論ず』 青空文庫
涙を惜め、涙を惜め、高品なわかい心のそこひもわかぬ胸の秘奥に啜り泣けよ。
— 北原白秋 『桐の花』 青空文庫
馬券の奥堂に参ずるは、なお剣、棋の秘奥を修めんとするが如く至難である。
— 菊池寛 『我が馬券哲学』 青空文庫
濃い赤と青とで彩られた、臓腑骨節の精緻な絵図を見ると、彼はそこに人体についてのすべての秘奥が、解き明かされてあるように思われた。
— 菊池寛 『蘭学事始』 青空文庫
作例 · 標準
彼は武道の秘奥を極めるために、山にこもって厳しい修行に励んだ。
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古代から伝わる魔術の秘奥が記された、謎めいた古文書を見つけた。
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その伝統芸能の秘奥は、一子相伝で代々守られてきた。
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