孱弱
孱弱
名詞
標準
文例 · 用例
提督ネルソンが兵學校の身體試驗に落第した孱弱者で有つたことと、其後強健なる好提督となつたこととは、やゝもすれば先天の缺陷を後天の工夫で補ひ得る事の例に引かるゝ談であるけれども、千百年に一人の人を例に取り來つて、百千萬人を論じようとするのは失當で且つ酷である。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
牛のごとく吼ゆるもの、 図体の憎々しく大きく、群獣をぬいて高く怒号するもの、 うそぶき、笑い、闊歩するもの、 孱弱く疲れていざり寄るもの、 ごろりと仰向きに臥ている牡、右の前|鰭で、はたりはたりと煽いでいるもの、(暑いんだな、あいつ鰭を団扇にしているんだ。
— 北原白秋 『フレップ・トリップ』 青空文庫
年は二十一で、五、六年まえから尾張屋の厄介になってやっぱり店の仕事を手伝っているんですが、どっちかというと孱弱い方で、米屋のような力仕事には不向きなので、遊び半分にぶらぶらしているようでした」「尾張屋には死んだ娘と主人のほかに誰がいる」と、半七は又|訊いた。
— 雷獣と蛇 『半七捕物帳』 青空文庫
在所生まれで、ふだんから小力のある彼女が、半狂乱の力任せに絞めつけたので、孱弱い男はそのままに息がとまってしまった。
— 雷獣と蛇 『半七捕物帳』 青空文庫
清吉も近来はよほど丈夫になったと人も云い、自分もそう信じているのですが、土台の体格が孱弱く出来ているのですから、迚も刺青などという荒行の出来る身体ではない。
— 岡本綺堂 『三浦老人昔話』 青空文庫
こんな孱弱いからだに朱や墨を注すのは、毒を注すようなものだと思ったが、当人は死んでも構わないと駄々を捏ねているのですから、この上にもうなんとも云いようがない。
— 岡本綺堂 『三浦老人昔話』 青空文庫
積って見ても知れる筈であるのに、何が不足でこの播磨を疑ったと、彼は物狂わしいほどに哮り立って、力任せに孱弱い女を引摺り廻してむごたらしく責めさいなんだ。
— 岡本綺堂 『番町皿屋敷』 青空文庫
孱弱い女子が群がる犬に取り巻かれている。
— 岡本綺堂 『玉藻の前』 青空文庫