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鉄屑

てつくず
名詞
1
標準
文例 · 用例
それはちょうど、鍛冶屋の金敷の台木の中に、いつの間にか鉄屑が嵌り込み、沈み込むのとよく似ている。
――生きる為に―― 山谿に生くる人々 青空文庫
金敷の台木から鉄屑が浮かび上がれないように、多くの土方の中には、それから浮かび上がれない約束に縛りつけられたような者もあった。
――生きる為に―― 山谿に生くる人々 青空文庫
母がどんどん行ってしまうのであとを追いかけようとするけれども、二人の間にはガラスのかけらがうざうざするほど積まれていて、脚を踏み入れると、それが磁石に吸いつく鉄屑のように蹠にささりこんだようでもある。
有島武郎 星座 青空文庫
見る間に三万坪に余る過去の一大磁石は現世に浮游するこの小鉄屑を吸収しおわった。
夏目漱石 倫敦塔 青空文庫
△多賀延夫氏――『鉄屑』苦心してゐて物質性がでゝゐない、物質の原素的なものの見極めを一応つけたら、現実的な色が抽象されてくるだらう、作者の態度は賛成だが。
美術論・画論 小熊秀雄全集−19− 青空文庫
鉄屑の堆積越しにコスモスのチラチラ光るテニス・コートの向うから、事務員風の男が来かかっている。
夢野久作 オンチ 青空文庫
刃先から水沫のように、よれた鉄屑が散った。
小林多喜二 工場細胞 青空文庫
工場に置かれた花は、マシン油の匂いと鉄屑とほこりと轟々たる音響で身もだえした。
小林多喜二 工場細胞 青空文庫