悚
悚
名詞
標準
文例 · 用例
次第に喬木の森林に入った、白く光る朽木は、悪草の臭いや、饐えたような地衣の匂いの中に立ち腐れになっている、うっかり手が触れると、海鼠の肌のような滑らかで、悚然とさせる、毒蚋が、人々の肩から上を、空気のように離れずにめぐっている、誰も螫されない人はない、大樺池を直ぐ眼の下に見て、ひた下りに下る。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
主税は天窓から悚然とした。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
母さん、と云って、あの、見えない目で見られると、悚然してよ。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
戸の外へ、何か来て立っていて、それがために重いような気がして、思わず猶予って、暗い中に、昼間|被かえた自分の浴衣の白いのを、視めて悚然として咳をしたが、口の裡で音には出ぬ。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
早瀬は氷を浴びたように悚然とした。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
見つゝ思はず悚然として、いしくも咲いたり、可愛き花、薊、鬼百合の猛くんば、我が言に憤りもせめ、姿形のしをらしさにつけ、汝優しき心より、百年の齢を捧げて、一朝の盛を見するならずや、いかばかり、我を怨みなんと、あはれさ言ふべくもあらず。
— 泉鏡花 『草あやめ』 青空文庫
」 とおくれ毛を風に吹かせて、女房も悚然とする。
— 泉鏡花 『海異記』 青空文庫
手巾が一枚落ちていても悚然とする、と皆が言う処だよ。
— 泉鏡花 『吉原新話』 青空文庫