暗紫
あんし
名詞
標準
文例 · 用例
顔一めんが暗紫色、口の両すみから真白い泡を吹いている。
— 太宰治 『狂言の神』 青空文庫
京子の頭上の電燈は、先刻加奈子が部屋を出る時かぶせて行った暗紫色の覆いを透して、ほの暗い光をにじみ出している。
— ――二つの連作―― 『春』 青空文庫
截られて居る雑木の大部分を占めて居る大人の拳位な太さのくぬぎの木肌は、誠実な労役を経た、老いた農夫の掌の様な、ひびだらけな上皮の、暗紫色へ、ほろほろ、と白い浮粉が吹き交ざった様な枯淡ななつかしみをかやに与えるのであった。
— 岡本かの子 『かやの生立』 青空文庫
暗紫色に腫れあがつた顏は無氣味な光澤を持ち、片方の眼は腫れふさがつて細く小さくなつてゐた。
— 島木健作 『癩』 青空文庫
暗紫色に腫れあがった顔は無気味な光沢を持ち、片方の眼は腫れふさがって細く小さくなっていた。
— 島木健作 『癩』 青空文庫
下顎骨の左の方に暗紫色の痕が見える。
— 渡辺温 『遺書に就て』 青空文庫
秋は黄褐色、冬は灰鼠の色に、春先は暗紫色になり、そして春の終わりから夏の終わりまでは一色の緑を刷く雑木林の丘だった。
— 佐左木俊郎 『或る部落の五つの話』 青空文庫
この拷問をうけるものは、はじめは惣身が赤くなり、更に暗紫色に変じて冷汗をしきりに流し、それがまた蒼白に変じるときは即ち絶命する時であるといい伝えられているので、皮膚に蒼白の色を呈するのを合図にその拷問を中止することになっていた。
— 岡本綺堂 『拷問の話』 青空文庫