戦気
せんき
名詞
標準
文例 · 用例
碁盤目のブロックには凹凸があり、欠けて掘り出されたままに放置されていたり、砂煙が低くつづいて舞うなど、その頃の光景を思い浮べて、空虚な、敗戦気分の意気地ないというのか、我ながら、心はずかしく憂鬱ならざるを得なかったのである。
— 小林一三 『アーニイ・パイルの前に立ちて』 青空文庫
しかし見わたすかぎりの泥海を越えて攻めよせる法はなかった、たとえその法があったとしても、城兵のたたかいぶりを骨身にしみるほど味わったよせてには、おそらく突撃するだけの戦気はなかったに違いない。
— 笄堀 『日本婦道記』 青空文庫
――思いやらるる事ではある」 夜明けの大気を吸ったばかりで、まだどこか、戦気は立って来ない。
— 吉川英治 『源頼朝』 青空文庫
「伊東の入道が着いた」「備えは成った」「いで、一揉みに」 と星山の頂きから、やや戦気がうごき出した頃、はるか丸子河の下流のもう海辺に近い辺りの森から、むくむくと黒煙の揚がるのが眺められた。
— 吉川英治 『源頼朝』 青空文庫
それが秋の午過ぎを、揺々と、動くが如く、動かぬがごとく、いわゆる戦気満々に、発向――の一令を待っているのが、武者のみか、馬までが、もどかしげに見えるのだった。
— 吉川英治 『上杉謙信』 青空文庫
一方―― その夜、その時刻のころには、甲軍の海津の城でも、戦気殺気、みちみちていた。
— 吉川英治 『上杉謙信』 青空文庫
彼の満身には戦気が立っている。
— 吉川英治 『上杉謙信』 青空文庫
三番貝は、もう戦気をふくんで、戛々、千余頭の馬と二千の兵の足なみの流れるあいだに鳴りながら行った。
— 第二分冊 『新書太閤記』 青空文庫