草笛
くさぶえ
名詞
標準
reed pipe
文例 · 用例
梅雨ばれの柳色ます門邊をば、草笛ふきて君よぎりぬと。
— 萩原朔太郎 『短歌』 青空文庫
をりから草笛ゆるに響き、野山のしらべの聞ゆるにぞ、つひにはこらへず庭におりて、木闇の小路に隱れ入りぬ。
— 薄田泣菫 『泣菫詩抄』 青空文庫
げに御身たちはわがつたなき草笛の最初のききてなりき。
— 絵入り小唄集 『どんたく』 青空文庫
花の中に首をさし入れてゐる私の顏の周圍は、ほの明るく火を入れたやうに色めき立ち、草笛の音のやうにうす甘く眠つてゐる官能を激しく呼び醒して少年の日をめくる。
— 横光利一 『榛名』 青空文庫
ちようどその時、庭の方から草笛のような声が聴えて来た。
— 浜尾四郎 『殺人鬼』 青空文庫
藤枝と林田の二人はちようどシガレットに火をつけてやり、またつけてもらつている瞬間だつたので、あるいは草笛をきいたかも知らぬがやす子の方は見ていなかつた。
— 浜尾四郎 『殺人鬼』 青空文庫
やす子はその時入口の所でかるく会釈をして室外に出ようとしていたが(偶然かどうか私にはその時よく判らなかつたが)窓越しに遠くから草笛の音がきこえて来るや否や、はつとしたような顔付をした。
— 浜尾四郎 『殺人鬼』 青空文庫
この時のやす子の表情とあの草笛の音とを結びつけて考え得る人間は私一人だつたのだ。
— 浜尾四郎 『殺人鬼』 青空文庫