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箇郷

かごう
名詞
1
標準
文例 · 用例
此身延の澤と申す處は、甲斐の國|飯井野、御牧、波木井三|箇郷の内、波木井郷の戊亥の隅にあたりて候。
――よく生きよとの―― 尼たちへの消息 青空文庫
其れが頻りに交代されるので、卯平は一|度しか郷里の土を踏まなくても種々の變化を耳にした。
長塚節 青空文庫
「なかなか郷里の方も口煩いぞい」とお母さんが言った。
島崎藤村 桜の実の熟する時 青空文庫
私はいつか郷里の駅で見受けた、満洲移住民達と見送る人々との感激的な別れの場を思い出し、あれと同じ血を引く人々でありながら、ここではどうしてこうも造作ない別れが出来るのだろうと、胸に痛いものを覚えた。
金史良 親方コブセ 青空文庫
しかし、どうしたものか郷里の家の姿はもうあまり僕の眼さきにちらつかなかった。
原民喜 雲の裂け目 青空文庫
それから、路を歩いてゐても、何か郷愁に似たとてもいい匂ひがするので、あれは何だつたかしらと、暫く戸迷ひながら、さうだ、パンを焼いてゐる匂ひだな、世の中にはパンを焼いて食べる幸福な家庭だつてあるのかと、吃驚さされる。
原民喜 飢ゑ 青空文庫
唄えない者は、なにか郷土自慢の話をすること。
豊島与志雄 自由人 青空文庫
私も氣がついて、幾度か郷里の妻の許に歸さうと思つたのだ。
葛西善藏 不良兒 青空文庫