鬱結
うっけつ
名詞動詞-サ変
標準
depression
文例 · 用例
大たい鬱結した暑気の天地だ。
— 岡本かの子 『渾沌未分』 青空文庫
お玉が胸に鬱結している物の本体は、強いて条理を立てて見れば先ずこんな物ででもあろうか。
— 森鴎外 『雁』 青空文庫
」 彼はこの最後の一句を、鬱結せる苦痛のつぶやきをもって発したのである。
— 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃 『世界怪談名作集』 青空文庫
神経に強い刺激が与えられて、とかく鬱結しやすかった血液も濃く重たいなりにもなめらかに血管の中を循環し、海から来る一種の力がからだのすみずみまで行きわたって、うずうずするほどな活力を感じさせた。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
むかしはむしろ無口といはれたはうで、大抵のことはぢつとうちに貯へてだまつてゐることのできる性分の男であつたのだが、目がさうなつてからは本はよめず、手紙は書けず、さうかといつてはなす相手はなし、どこへ向つても心に鬱結するものの捌け口は閉ざされてしまつてゐた。
— 島木健作 『盲目』 青空文庫
その唯一のものをうばはれ、鬱結したものの壓力にいまは耐へがたくなつてくると、古賀はいつもぐるぐると房のなかをあるきまはり、頭をそこの壁にうちつけたりするのであつた。
— 島木健作 『盲目』 青空文庫
鬱結し、鬱結して今は堪へがたくなつたものが、一つのはけ口を見出して迸しり出づるそれは聲なのである。
— 島木健作 『癩』 青空文庫
――刑務所内の安全週間の無事に終つた祝ひとして、收容者全部に砂糖入りの團子が配られ、この隔離病舍にだけはどうしたものかそれが配られず、後で炊事擔當も病舍の擔當もこゝの事は「忘れて」ゐたのだ、と聞かされた時、とうとう鬱結してゐたものが一人の若者の口から迸り出た。
— 島木健作 『癩』 青空文庫
作例 · 標準
例句