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引き剥ぎ

ひきはぎ
名詞
1
標準
文例 · 用例
(と鹿の皮を引き剥ぎ、姫を前へ押しやる)合爾合と成吉思汗は、凝然と眼を見詰め合う。
――市川猿之助氏のために―― 若き日の成吉思汗 青空文庫
彼れは力をこめて引剥すと、いま/\しげに夫れを丸めて庭に投げ棄てた。
有島武郎 實驗室 青空文庫
画だけ引剥して差上げる訳にも参りませんで。
泉鏡花 婦系図 青空文庫
……森のめぐりの雨雲は、陰惨な鼠色の隈を取った可恐い面のようで、家々の棟は、瓦の牙を噛み、歯を重ねた、その上に二処、三処、赤煉瓦の軒と、亜鉛屋根の引剥が、高い空に、赫と赤い歯茎を剥いた、人を啖う鬼の口に髣髴する。
泉鏡花 売色鴨南蛮 青空文庫
……で、損料……立処に損料を引剥ぐ。
泉鏡花 木の子説法 青空文庫
三味線も弾けず、踊りも出来ぬ、座敷で衣物が脱げないなら、内で脱げ、引剥ぐと、な、帯も何も取られた上、台所で突伏せられて、引窓をわざと開けた、寒いお月様のさす影で、恥かしいなあ、柄杓で水を立続けて乳へも胸へもかけられましたの。
泉鏡花 歌行燈 青空文庫
……洋服屋の宰取の、あのセルの前掛で、頭の禿げたのが、ぬかろうものか、春暖相催し申候や否や、結構なお外套、ほこり落しは今のうち、と引剥いで持って行くと、今度は蝉の方で、ジイジイ鳴噪いでも黐棹の先へも掛けないで、けろりと返さぬのがおきまりであった。
泉鏡花 薄紅梅 青空文庫
……というのは羽織袴です――弁持も私も、銀行は同一取引の資産家だから、出掛けに、捨利で一着に及んだ礼服を、返りがけに質屋の店さきで、腰を掛けながら引剥ぐと、江戸川べりの冬空に――いいかね――青山から、歩行で一度中の橋手前の銀行へ寄ったんだ。
泉鏡花 薄紅梅 青空文庫