踏絵
ふみえ
名詞
標準
文例 · 用例
此の長崎にて切支丹の御検分ことのほか厳しくなり、丸山の妓楼の花魁衆にまで御奉行、水尾様御工夫の踏絵の御調べあるべしとなり。
— 夢野久作 『白くれない』 青空文庫
当日の模様、物珍らしきまゝに、われも竹矢来の外の群集に打ちまじりて見物するに、今しも丸山一の大家、初花楼の太夫職にして、初花といふ今年十六の全盛なる少女が、厳めしき検視の役人の前にて踏絵を踏む処なりとて人々、息も吐きあへず見守り居る体なり。
— 夢野久作 『白くれない』 青空文庫
金襴、刺繍の帯、裲襠、眼も眩ゆく、白く小さき素足痛々しげに荒莚を踏みて、真鍮の木履に似たる踏絵の一列に近付き来りしが、小さき唇をそと噛みしめて其の前に立佇まり、四方より輝やき集まる人々の眼を見まはし、恐ろし気に身を震はして心を取直し居る体なり。
— 夢野久作 『白くれない』 青空文庫
そを懸命に踏み堪へて、左褄高々と紮げ、脛白き右足を擡げて、踏絵の面に乗せむとせし一刹那、「エイツ……」 と一声、足軽の棒に遮り止められ、瞬く間に裲襠を剥ぎ取られて高手小手に縄をかけられつ。
— 夢野久作 『白くれない』 青空文庫
あなたの仰言り方があんまり突然で、何んだかあたし、踏絵を命ぜられたみたいに思えたんですもの。
— 横光利一 『旅愁』 青空文庫
」「踏絵か、なるほどね。
— 横光利一 『旅愁』 青空文庫
「あなたの身代りに、僕が踏絵をしようというときだったのに。
— 横光利一 『旅愁』 青空文庫
もしあのとき明治のように、古神道が法律を動かす中心だったら、踏絵などという残酷なものはなかったと僕は思いますね。
— 横光利一 『旅愁』 青空文庫