髪梳き
かみすき
名詞
標準
文例 · 用例
そして、宅悦との応答があって、髪梳き道具が持ち出されると、お岩は櫛を手に取り、思い入れよろしくの後に、 お岩 母の遺品のこの櫛も、妾が死んだら、どうぞ妹へ。
— 小栗虫太郎 『人魚謎お岩殺し』 青空文庫
この意外な突発事件は、その日の興行を、髪梳き場だけで中止させてしまった。
— 小栗虫太郎 『人魚謎お岩殺し』 青空文庫
つまり、そこに髪梳きの、技巧があるというわけだが…その時は仮髪師為十郎の趣向からして、幕切の見得の際には照明を暗くさせ、眼だけを白く抜いて、真赤に滲み出る毒血の凄みを、内部に塗った、燐で浮き出させる仕掛けにしたのである。
— 小栗虫太郎 『人魚謎お岩殺し』 青空文庫
すると友田屋、これで逢痴の死が、戸板の中で行われたのでないという事が分るだろうね」 そうして、執念く作り藻を取り上げては、キュッと捻り、したたる水の色を、貪るように眺めているその光景には、また髪梳きの場が聯想されてきて、それは「玻璃の光り」という、下座の独吟でも欲しいほどの物凄さだった。
— 小栗虫太郎 『人魚謎お岩殺し』 青空文庫
思はれぬ人のすさびは夜の二時に黒髪梳きぬ山ほととぎす 少し凄い歌で人を詛ふやうな気持が動いてゐる。
— 平野萬里 『晶子鑑賞』 青空文庫
我髪梳きて口そそぎ枕に就き候とき、君は未だカンパン・プルミエにある人人の画室に語り興じ居給ふらん、あるはパンテオンのキヤツフエに寒ければとてアメリカンなど飲みて居給ふらん、ピガルの広場の前の例の家の伊太利亜少女の楽人にや聞きほれて居給ふらん。
— 與謝野寛、與謝野晶子 『巴里より』 青空文庫
其最初の蚊帳に居る間から、髪梳きに到る前半の方が、非常によくて、此でこそ、後半のお岩の執念に同情が出来ると言ふ気がした。
— 折口信夫 『お岩と与茂七』 青空文庫
膝の上に置いた自分の首の髪を梳いている幽霊は、お岩の髪梳きよりも一層ものすごいであろう。
— 井上円了 『迷信と宗教』 青空文庫