魚商
ぎょしょう
名詞
標準
文例 · 用例
七之助は魚商で、盤台をかついで毎日方々の得意先を売りあるいていたが、今年|二十歳になる若いものが見得も振りもかまわずに真っ黒になって稼いでいるので、棒手振りの小商いながらもひどい不自由をすることもなくて、母子ふたりが水いらずで仲よく暮していた。
— 猫騒動 『半七捕物帳』 青空文庫
まあ、それはそれとして、お前は今の魚商と何をこそこそ話していたんだ」 お初は俯向いて立っていた。
— 猫騒動 『半七捕物帳』 青空文庫
おめえはあの魚商に知恵をつけて、隣り町の三吉のところへ相談に行けと云っていたろう。
— 猫騒動 『半七捕物帳』 青空文庫
鼎造の祖父に当る人がやはり東京の山の手の窪地に住み金魚をひどく嗜好したので、鼎造の幼時の家の金魚飼育の記憶が、この谷窪の金魚商の崖上に家を構えた因縁から自然とよみがえった。
— 岡本かの子 『金魚撩乱』 青空文庫
専門家の側では、この機に乗じて金魚商の組合を設けたり、アメリカへ輸出を試みたりした。
— 岡本かの子 『金魚撩乱』 青空文庫
進歩的の金魚商は特に異種の交媒による珍奇な新魚を得て観賞需要の拡張を図ろうとした。
— 岡本かの子 『金魚撩乱』 青空文庫
魚屋与助は伊沢氏に出入した魚商である。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
私の生れ故郷は、瀬戸内海の波の音のきこえる小村で、春になると、桜鯛がよく網に上った、それを売り歩く魚商人の声が、陽気に村々に聞えて来ると、村人は初めて海の春が、自分たちの貧しい食膳にも上るようになったのを喜んだものだ。
— 薄田泣菫 『艸木虫魚』 青空文庫