左掌
さしょう
名詞
標準
文例 · 用例
すると若林博士も、ちょうど脈搏の診察を終ったところらしく、左掌の上の懐中時計を、やおら旧のポケットの中に落し込みながら、今朝、一番最初に会った時の通りの叮嚀な態度に帰った。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫
被害者は菜ッ葉服を着た毬栗頭の大男で、両脚を少し膝を折って大の字に開き、右|掌を固く握り締め、左掌で地面を掻きむしる様にして、線路と平行に、薄く雪の積った地面の上に俯伏に倒れていた。
— 大阪圭吉 『気狂い機関車』 青空文庫
それにもかかわらず、どうです、犯人の掌の跡は、右掌だけで、何処を見ても左掌の跡はひとつも無いじゃあないですか。
— 大阪圭吉 『気狂い機関車』 青空文庫
これを公平にふたつ合わせて鳴った掌はいったい、右掌が先か、左掌が先か。
— 第六分冊 『新書太閤記』 青空文庫
あの手付きでは、拳銃を撃つのも初めてではないらしいな) ……此の女は左利きらしいなと、彼は銃把を握る女の左掌を感じながらぼんやり考えていた。
— 梅崎春生 『日の果て』 青空文庫
左掌の中指のつけ根にあかぎれがして、それが痛かった。
— 小山清 『その人』 青空文庫