廓然
かくぜん
形容動詞
標準
文例 · 用例
然し其様なことを見ながらに終ったのではない、最期の時は人を去らせて、室内|廓然、縄床に居て口に法花経を誦し、手に金剛の印を結んで、端然として入滅したということである。
— 幸田露伴 『連環記』 青空文庫
お房は、其には頓着なく楷梯を上りきると、先づがたびしする雨戸を三枚啓けて、次に手ばしこく蒲團を畳んで押入へ押籠む……夜の温籠は、二十日鼠のやうに動くお房の煽と、中窓から入ツて來る大氣とに冷されて、其處らが廓然となる。
— 三島霜川 『平民の娘』 青空文庫
達麿忌である、廓然無聖、冷暖自知。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫
心境廓然(先夜の放下着このかた)。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫
その日は、廓然と晴れた初夏の一日だつた。
— 菊池寛 『真珠夫人』 青空文庫
頭の中は常に活動して、廓然無聖などと乙な理窟を考え込んでいる。
— 夏目漱石 『吾輩は猫である』 青空文庫
そこになると、黄檗はあの通り平地に建つてゐるので、廓然と気持がいゝつたらない。
— 大正五(一九一六)年 『茶話』 青空文庫
)澄み切つた冬の空に、燃える樣な新しい煉瓦の色の、廓然と正しい輪廓を描いてるのは、何樣木造の多い此町では、多少の威嚴を保つて見えた。
— 石川啄木 『菊池君』 青空文庫