迷い歩く
まよいあるく
動詞
標準
文例 · 用例
一同は、奇怪な恐怖に駆られて、夢の中をさ迷い歩くような惑乱を感じていたのである。
— 小栗虫太郎 『潜航艇「鷹の城」』 青空文庫
それでなくてさえ、大地が暗く、夢中をさ迷い歩くような感じがして、暗中に差し招く、隠密の手をはっきりと意識しているばかりではなく、こうも眩い白昼においてさえ、彼を襲う、奇怪な恐怖を制し得なかったのである。
— 小栗虫太郎 『人魚謎お岩殺し』 青空文庫
そういう時には、一日は勿論、二日三日も山中を迷い歩く事があるから、用心の為に米または味噌、鍋釜の類まで担いで行く。
— ――「日本妖怪実譚」より 『木曽の怪物』 青空文庫
或時は土方となり、或時は坑夫となって、甲から乙へと際限もなく迷い歩く中に、二十年の月日は夢と過ぎた。
— 岡本綺堂 『飛騨の怪談』 青空文庫
明らかに有ることの分っている家へ集まる恨みから、超然とはしがたい苦しさや、いや、たしかに自分の家だけは無いという堅苦しい表情など、それらが雨の中をさ迷い歩く暇の間も、村の共同精米所だけは、どこにどれだけあるか、無いかを睥んだ静けさで、ひっそりと戸を閉めつづけている無気味さだ。
— ――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師) 『夜の靴』 青空文庫
気早やで、ひょうきんで、兎角、やり損いの多い弁公と彼との、大江戸の日影から日影を、さ迷い歩くような、流浪生活は、それからはじまった。
— 三上於菟吉 『雪之丞変化』 青空文庫
明晩は亡者となって迷い歩くべき権利の保留者であって、今晩は踏台となるべき義務者なのであります。
— 慢心和尚の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
しかし私はこれがどういうことであるかを看取する、すなわち、私の精神はさ迷い歩くことを好み、そして未だ真理の限界内に引き留められることを甘受しないのである。
— MEDITATIONES 『省察』 青空文庫