駆寄
かける寄
名詞
標準
文例 · 用例
そして、豹一の方へ二、三歩駆寄った。
— 織田作之助 『青春の逆説』 青空文庫
不時の回診に驚いて、ある日、その助手たち、その白衣の看護婦たちの、ばらばらと急いで、しかも、静粛に駆寄るのを、徐ろに、左右に辞して、医学博士秦宗吉氏が、「いえ、個人で見舞うのです……皆さん、どうぞ。
— 泉鏡花 『売色鴨南蛮』 青空文庫
芥溜を探したか、皿から浚ったか、笹ッ葉一束、棒切の尖へ独楽なわで引括った間に合せの小道具を、さあ来い、と云う身で構えて、駆寄ると、若い妓の島田の上へ突着けた、ばさばさばッさり。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
」と抱附くように腰にひったり、唐突に駆寄ったは、若い妓の派手な態度――当時一本になりたてだった、お孝が秘蔵のお千世なのである。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
」 と言うなりに、こめかみの処へ頭痛膏を貼った顔を掉って、年増が真先に飛込むと、たちまち、崩れたように列が乱れて、ばらばらと女連が茶店へ駆寄る。
— 泉鏡花 『瓜の涙』 青空文庫
駆寄ろうとする一息さきに、蕎麦屋がうしろから抱留めました。
— ――(前題――楊弓) 『ピストルの使い方』 青空文庫
」 僕が斯んなことを云ひながら背中の袋を取り降ろしてゐると、また後から駆寄つて来る馬車があつた。
— 牧野信一 『馬車の歌』 青空文庫
林は一丁目の角で自動車を駐め、窓から首を突出してこの騒ぎを眺めていると、これを見付けて駆寄って来たのは、道灌山の養子の駒形伝次。
— 久生十蘭 『魔都』 青空文庫