空々漠々
くうくうばくばく
形容詞-たる副詞-と
標準
vast
文例 · 用例
「それじゃ、失敬」 空々漠々たるものでした。
— 太宰治 『トカトントン』 青空文庫
所が米山の説を聞いて見ると、何だか空々漠々とはしているが、大きい事は大きいに違ない。
— 夏目漱石 『処女作追懐談』 青空文庫
嗚呼墳墓、汝の冷々たる舌、汝の常に餓ゑたる口、何者をか噬まざらん、何物をか呑まざらん、而して墳墓よ、汝も亦た遂に空々漠々たり、水流滔々として洋海に趣けど、洋海は終に溢れて大地を包まず、冉々として行暮する人世、遂に新なるを知らず、又た故なるを知らず。
— 北村透谷 『富嶽の詩神を思ふ』 青空文庫
私からは歴史というもののイメージは日々見たり聞いたりしている現実の世界以外に消え失せてしまっているが、この空々漠々たるものの中に歴史という文字を打ち立ててみると、その文字の中軸として二つの姿が浮んで来る。
— 横光利一 『スフィンクス(覚書)』 青空文庫
神代のことは正史にも記載されてゐるが、空々漠々捕捉し難いのである。
— 狩野亨吉 『天津教古文書の批判』 青空文庫
全然、筋もプランも目当のつかない空々漠々、何を目安に自信があるのだい。
— ――平野謙へ・手紙に代へて―― 『戯作者文学論』 青空文庫
一杯十五銭から十七銭ぐらゐ、万事につけて京都よりは高価であつたが、生活費は毎月本屋からとゞけられ、余分の飲み代のために、都新聞の匿名批評だの雑文をかき、私はまつたく空々漠々たる虚しい毎日を送つてゐた。
— 坂口安吾 『ぐうたら戦記』 青空文庫
わが魂をさがしあぐね、ひねもす机の紙を睨んで、空々漠々、虚しく捉へがたい心の影を追ひちらしてゐる私にとつて、人の屍体をひきあげて人気者になり、残つた屍体をひきあげかねて逃げだしてきた馬鹿らしさ、なさけなさ。
— 坂口安吾 『ぐうたら戦記』 青空文庫
標準
vague and hazy