稽
稽
名詞
標準
文例 · 用例
何も女の力たらで談合に甲斐なしとも、同じこゝろは榮花にあきし世の人よりも持つ物ぞや、我れに遠慮あらば佐助もありそよもあり、あの年浪の寄るほどには稽古もつみて世渡りの商法も知らぬではなく、それこそ相談の相手にも成るべし。
— 一葉 『暗夜』 青空文庫
猫の幽霊という言葉がひどく滑稽に思われたのである。
— 萩原朔太郎 『ウォーソン夫人の黒猫』 青空文庫
芸術家の心理を理解しない、世間の一般人の眼から見たら、文学者がこんな動機で自殺するなんていうことは、滑稽に類する馬鹿気たことに思われるかも知れないが、僕らの同じ仲間には、そうした気持ちの痛々しさが、同情によって充分によく解るのである。
— 萩原朔太郎 『老年と人生』 青空文庫
しかもそんな荒唐無稽があるだろうか。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
例えば芸術至上主義という語の如きも、日本では全く正体の見ちがった滑稽の意味に解されてるが、同様にこの「生活のための芸術」という語の如きも、殆ど子供らしく馬鹿馬鹿しい解釈で、昔から文壇に俗解されてる。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
そして一層|滑稽なのは、象徴を以て曖昧朦朧とさえ解釈している。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
今日我が国の軍隊等で、少許のことを「じゃっかん」と言い、物乾場のことを「ぶっかんじょう」と言い、滑稽にまで無理に漢語を使用するのは、発音に於けるエピックな響を悦ぶのである。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
即ちジヤツク・ウオーキイ等によつて映画で紹介されてゐるやうな、歌詞を本位として簡単な音楽を伴奏的につけ、専ら歌詞の滑稽味やエロチシズムやで、大衆を興がらすやうに出来てる「音楽入西洋万才」が、近い未来に於て日本に現れることを予感させる。
— 萩原朔太郎 『流行歌曲について』 青空文庫