頼り無い
たよりない
形容詞
標準
文例 · 用例
「私とて同じこと、どこまで行っても真白でふわふわと、頼り無い白雲のなかに、眼も体もやすめようとする所もなく、疲れはてて仕舞った時、ひとりでに私の首が下を向き、翼をやすめるに屈竟な黒く落ち付いた土の底が、はっきり見えましたので、急いで茲まで降りて参りました。
— 岡本かの子 『トシオの見たもの』 青空文庫
軽部の同僚の若い教師たちは、軽部の死位で枯涸されなかったお君の生命感に想いをいたし、腹の中でそっと夫々の妻の顔を想い浮べて、何か頼り無い気持になるのだった。
— 織田作之助 『雨』 青空文庫
「君の放浪は実に君らしい青春だよ」と赤井は辛うじて青春説を口にしたが、しかし、肚の中では、(つまりこいつは忘れっぽい、頼り無い男なんだ)と妙に諦めていた。
— 織田作之助 『青春の逆説』 青空文庫
いろいろ思ひを廻らした揚句、照子が行く芝居の立見へ入つて、ソツと照子の様子を見てやらう、皮肉な眼で……と私は思ひつくと、「不自然に拵へ上げてしまつたその夜の退屈な時間」を漸く過すことが出来るといふ頼り無い光明を認めました。
— 牧野信一 『愚かな朝の話』 青空文庫
母と老婢ともまた屹度この哀れむべき娘のことに就いて、頼り無い噂を交はして居るのであらう。
— 若山牧水 『姉妹』 青空文庫
」「はい」と云うと娘のお紅は、寂しそうに顔を俯向けたが、「手頼り無い身にござります。
— 国枝史郎 『血ぬられた懐刀』 青空文庫
「手頼り無いお身の上でござりましょう。
— 国枝史郎 『血ぬられた懐刀』 青空文庫
後にも先にもたった二人自分達丈が歩いて居る事が頼り無い様に思われたのでしょう。
— 宮本百合子 『小さい子供』 青空文庫