酒棚
さかだな
名詞
標準
文例 · 用例
失神した米良の腕を陳独秀はとると、彼等は酒棚のまえで物悲しい乾杯をした。
— 吉行エイスケ 『地図に出てくる男女』 青空文庫
マダムはすぐ酔っ払ったが、私も浅ましいゲップを出して、洋酒棚の下の方へはめた鏡に写った顔は仁王のようであった。
— 織田作之助 『世相』 青空文庫
その度に彼は、如何にも体裁が悪る気に、それとなく席を立つと酒棚などを験べる風にキヨロ/\したりしながら妙な白を切つて、やがて逸早く颯ツと便所へ飛び込むのであつた。
— 牧野信一 『街角』 青空文庫
酒棚の外側で歩道にあたる日除けの下には石造りのベンチが一脚横たはつてゐる。
— 牧野信一 『山彦の街』 青空文庫
」 酒棚に近い卓子で、唐草模様のついた陶器製の洋盃を持つた若者が、そんなことを余り興味なさゝうな口調で云ふと、傍らの伴れらしい男が、「何しろ娘達の間だけでも素晴しい評判だからな。
— 牧野信一 『山彦の街』 青空文庫
……」 酔っぱらいの年増女は、双腕を僕の方に伸ばしたまま、酒棚の前からフラフラ出てきた。
— 海野十三 『深夜の市長』 青空文庫
復活祭の前日、ほとんどすべての食料品販売所でパンの棚と酒棚が空ッぽになった。
— 宮本百合子 『モスクワ印象記』 青空文庫
もっとも自然な場所といえばどこだ、まず咄嗟に考えられるのはこの家の酒棚だが、今ごろになって、どうかこれを酒棚に、もおかしい。
— 久生十蘭 『魔都』 青空文庫