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岩畳

いわだたみ
名詞
1
標準
文例 · 用例
膝におきたる骨太の掌指は枯れたる松が枝ごとき岩畳作りにありながら、一本ごとにそれさえもわなわな顫えて一心にただ上人の一言を一期の大事と待つ笑止さ。
幸田露伴 五重塔 青空文庫
) 浅原が岩畳な体ごとぶつけて、扉を押し破って入って見ると、果して瓦斯ストーヴ用の瓦斯の栓を開け放した儘、智子の母親は寝床の中で白蝋のように冷たく眠っていた。
渡辺温 或る母の話 青空文庫
老後の為めには彼は無益に其絶倫の技倆を発揮して居たのであると思ふと此の岩畳な老夫が寧ろ哀れつぽくなる。
長塚節 しらくちの花 青空文庫
年の頃二八には過ぎじと思はるゝが、華やかなる袖を飜し、白く小さき足もと痛ましげに、荒磯の岩畳を渡りて虹汀の傍に近づき来り、見る人ありとも知らず西方に向ひて手を合はせ、良久祈念を凝らすよと見えしが、涙を払ひて両袖をかき抱き、あはや海中に身を投ぜむ気色なり。
夢野久作 ドグラ・マグラ 青空文庫
男は色の黒い苦み走った、骨組の岩畳な二十七八の若者で、花色裏の盲縞の着物に、同じ盲縞の羽織の襟を洩れて、印譜散らしの渋い緞子の裏、一本筋の幅の詰まった紺博多の帯に鉄鎖を絡ませて、胡座を掻いた虚脛の溢み出るのを気にしては、着物の裾でくるみくるみ喋っている。
小栗風葉 深川女房 青空文庫
しかしこの船宿は、かの待合同様な遊船宿のそれではない、清国の津々浦々から上って来る和船帆前船の品川前から大川口へ碇泊して船頭|船子をお客にしている船乗りの旅宿で、座敷の真中に赤毛布を敷いて、欅の岩畳な角火鉢を間に、金之助と相向って坐っているのはお光である。
小栗風葉 深川女房 青空文庫
階下へ降りてみると、門を開放った往来から見通しのその一間で、岩畳にできた大きな餉台のような物を囲んで、三四人飯を食っていた。
小栗風葉 世間師 青空文庫
その岩山の頂きを非常な努力で平地とし、そこへ神殿を建てたものであって、今も尚周囲は岩畳みであった。
国枝史郎 神州纐纈城 青空文庫