来節
らいせつ
名詞
標準
文例 · 用例
――したがって日本人に最も接近させられる――であるけれども、彼等の極端なるジャズバンドの音楽でさえ、日本俗謡の八木節や安来節の類に比し、尚|遙かに貴族感的で、どこかに*シルクハットや燕尾服を着たところの、儀礼正しき紳士道を聯想させる。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
おきまりの会費で存分愉しむ肚の不粋な客を相手に、息のつく間もないほど弾かされ歌わされ、浪花節の三味から声色の合の手まで勤めてくたくたになっているところを、安来節を踊らされた。
— 織田作之助 『夫婦善哉』 青空文庫
安来節踊りの腰付きのようなものもあれば、レヴューガールのような巧妙なのもあった。
— 織田作之助 『青春の逆説』 青空文庫
(昭和二年五月、渋柿) * ラジオの放送のおかげで、始めて安来節や八木節などというものを聞く機会を得た。
— 寺田寅彦 『柿の種』 青空文庫
此処から余り遠くない、場末の某座に五日間の興行に大当りを取つた、安来節座中の女太夫である。
— 泉鏡花 『光籃』 青空文庫
当時は、安来節、おはら節などを唄うと聞く、流しの法界屋の姉さんの仮装したのに過ぎない。
— ――(前題――楊弓) 『ピストルの使い方』 青空文庫
青い髯も、白い顔も、紅を塗ったのも、一斉にうたうのは鰌すくいの安来節である。
— 泉鏡花 『怨霊借用』 青空文庫
よく若林と自動車で浅草へ乗り出し、電気館の洋物、土屋という弁士で人気を呼んでいるオペラ館の新派悲劇、けれんの達者な松竹座の福円などを見たものだったが、そのころ浅草を風靡しているものに安来節もあった。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫