寝覚
ねざめ
名詞
標準
文例 · 用例
午後は奈々子が一昼寝してからであった、雪子もお児もぶらんこに飽き、寝覚めた奈々子を連れて、表のほうにいるようすであったが、格子戸をからりあけてかけ上がりざまに三児はわれ勝ちと父に何か告げんとするのである。
— 伊藤左千夫 『奈々子』 青空文庫
五月雨や御豆の小家の寝覚がち「五月雨や大河を前に家二軒」という句は、蕪村の名句として一般に定評されているけれども、この句はそれと類想して、もっとちがった情趣が深い。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
その直前にどんなことを考えていたかと思って聊か覚束ない寝覚めの記憶を逆に追跡したが、どうもその前の連鎖が見付からない。
— 寺田寅彦 『KからQまで』 青空文庫
この、筆者の友、境賛吉は、実は蔦かずら木曾の桟橋、寝覚の床などを見物のつもりで、上松までの切符を持っていた。
— 泉鏡花 『眉かくしの霊』 青空文庫
……夜汽車が更けて美濃と近江の国境、寝覚の里とでもいう処を、ぐらぐら揺って行くようで、例の、大きな腹だの、痩せた肩だの、帯だの、胸だの、ばらばらになったのが遠灯で、むらむらと一面に浮いて漾う。
— 泉鏡花 『吉原新話』 青空文庫
…… いま偶と寝覚の枕を上げると、電燈は薄暗し、硝子戸を貫いて、障子にその水の影さえ映るばかりに見えたので、「おお、寒い。
— 泉鏡花 『鷭狩』 青空文庫
何だか寝覚が悪いようだね。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
初対面のお前様見さっしゃる目に、えら俺が非道なようで、寝覚が悪い、)と顱巻を掉立てますと、のう。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫