無人の境
むじんのきょう異読 むにんのきょう
表現名詞
標準
uninhabited region
文例 · 用例
石沙無人の境の、家となり、水となり、田となり、村となつた、いま不思議な境にのぞみながら、古間木よりして僅に五|里、あとなほ十|里をひかへた――前途の天候のみ憂慮はれて、同伴に、孫引のもの知り顔の出来なかつたのを遺憾とする。
— 泉鏡太郎 『十和田湖』 青空文庫
それで鉄の鶴は無人の境を行くようにどこまでも単調な挙動を繰返しながら一直線に進んで行くのである。
— 寺田寅彦 『夢』 青空文庫
これ千年の深林を滅し、人力を以て自然に打克んが為めに、殊更に無人の境を撰んで作られたのである。
— 國木田独歩 『空知川の岸辺』 青空文庫
ここに、思掛けなかったのは――不断ほとんど詣ずるもののない、無人の境だと聞いただけに、蛇類のおそれ、雑草が伸茂って、道を蔽うていそうだったのが、敷石が一筋、すっと正面の階段まで、常磐樹の落葉さえ、五枚六枚数うるばかり、草を靡かして滑かに通った事であった。
— 泉鏡花 『神鷺之巻』 青空文庫
道はまるで無人の境です。
— 國木田獨歩 『夜の赤坂』 青空文庫
ここにおいて、精神界と物質界とを問わず、若き生命の活火を胸に燃した無数の風雲児は、相|率いて無人の境に入り、我みずからの新らしき歴史を我みずからの力によって建設せんとする。
— 石川啄木 『初めて見たる小樽』 青空文庫
陵の供廻りどもの穹廬がいくつか、あたりに組立てられ、無人の境が急に賑やかになった。
— 中島敦 『李陵』 青空文庫
しかし薩軍を悩したものは風雪だけであって、十八日から二十日に至る間、無人の境を行く如くして肥後に入った。
— 菊池寛 『田原坂合戦』 青空文庫
作例 · 標準
夜が更けると、公園はまるで無人の境のように静まり返り、虫の声だけが響いていた。
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彼は何日も人との接触を避け、山奥の無人の境で一人思索にふけっていた。
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昔の都の跡は、今や草木に覆われ、無人の境と化している。
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