札びら
さつびら
名詞
標準
文例 · 用例
純朴な田舎の人たちに都会の成金どもがやたらに札びらを切って見せて堕落させたなんて言うけれども、それは、あべこべでしょう。
— 太宰治 『やんぬる哉』 青空文庫
もちろん座敷|摺れのしないお酌のうちから仕切って面倒を見たり、一本になりたてを、派手な落籍祝いをして落籍したり、見栄ばった札びらの切り方をするのは、大抵近郊の地主とか、株屋であり、最近では鉄成金であり、重工業関係の人たちであったが、それも時局情勢の進展につれてようやく下火になって来た。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫
俄成金は時に方図もない札びらを切り、千金のダイヤも硝子玉ほどにも光を放たないのであった。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫
これも東京の人で、彼方へ往く度に札びら切って、大尽風をふかしているお爺さんが、鉱山が売れたら、その女を落籍して東京へつれていくといっているから、それを踏台にして、東京へ出ましょうかって。
— 徳田秋声 『あらくれ』 青空文庫
「好い気になって余りぱっぱと使うなよ」 お島が方々札びらを切って、註文して来た酒や天麩羅で、男達はやがて飲はじめた。
— 徳田秋声 『あらくれ』 青空文庫
皆んなにお煽らかされて、札びら切つてゐる木山の顔が目に見えるやうだつた。
— 徳田秋声 『のらもの』 青空文庫
園は例のとおり、ポッケットの中から、机の抽出しから、手帳の間から、札びらや銀貨を取りだした。
— 有島武郎 『星座』 青空文庫
彼は、クラスの誰彼を、その頃有名に成りかけていた、鎧橋際のメイゾンコーノスへ引っ張って行って、札びらを切って御馳走した。
— 菊池寛 『青木の出京』 青空文庫