焼灰
しょうはい
名詞
標準
文例 · 用例
燃え尽した書物がフィルムの逆転によって焼灰からフェニックスのごとく甦って来る。
— 寺田寅彦 『雑記帳より(2)』 青空文庫
山坂を踏越えて、少々|平な盆地になった、その温泉場へ入りますと、火沙汰はまた格別、……酷いもので、村はずれには、落葉、枯葉、焼灰に交って、※子鳥、頬白、山雀、鶸、小雀などと言う、紅だ、青だ、黄色だわ、紫の毛も交って、あの綺麗な小鳥どもが、路傍にはらはらと落ちている。
— 泉鏡花 『唄立山心中一曲』 青空文庫
自分を剖き分けて、近くへ寄ってみれば、焼石、焼灰の醜い心と身体、それは自分ながら吐き捨ててしまい度いようである。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
焼木杭や焼灰等は塵程も残っていない。
— 岡本かの子 『かの女の朝』 青空文庫
第一に、草地一面に焼灰が混ってしまったのだから牛馬の飼料には一茎もならなくなった。
— 岡本かの子 『宝永噴火』 青空文庫
奥蔵の※間を焼灰の堆かい上を蹈んで、半分落ち掛ってる黒焦げの桁を潜ると、柱一本も残らぬ焼原であった。
— 内田魯庵 『灰燼十万巻(丸善炎上の記)』 青空文庫
と心窃に感慨しつゝ、是等の大美術書を下駄で踏むのがアテナの神に対して済まないような気持がしながら左見右見としていると、丸善第一のビブリオグラアーたるKが焼灰で真黒になった草履穿きで煙の中をいつゝ、焼けた材木や煉瓦をステッキで堀返しては失われた稀覯書の行衛を尋ねていた。
— 内田魯庵 『灰燼十万巻(丸善炎上の記)』 青空文庫
往古之礼、聖上即位、必択吉旦、召群臣於禁中、且聚会国中男女於獄(平等所)而覡巫呪詛而焼灰宇呂武、和水而飲焉、中古而来、王已即位、必択吉日、偏召群臣於護国寺、令飲霊社神文之水、且遣使者、往至諸郡諸島、而飲神水於庶民、永守君臣之義、不敢有弐心也。
— 伊波普猷 『ユタの歴史的研究』 青空文庫