物々
ぶつぶつ
名詞
標準
文例 · 用例
物々しさの代りに心安さがある。
— 寺田寅彦 『浅間山麓より』 青空文庫
自分は近来は煙草で癇癪をまぎらす必要を感じるような事は稀であるが、しかしこの頃煙草の有難味を今更につくづく感じるのは、自分があまり興味のない何々会議といったような物々しい席上で憂鬱になってしまった時である。
— 寺田寅彦 『喫煙四十年』 青空文庫
一昨年初めて来たとき、軽井沢駅のあの何となく物々しい気分に引きかえてこの沓掛駅の野天|吹曝しのプラットフォームの謙虚で安易な気持がひどく嬉しかったことを思い出した。
— 寺田寅彦 『高原』 青空文庫
どこかの山中の嶮崖を通る鉄道線路の夜景を見せ、最後に機関車が観客席に向かって驀進するという甚だ物々しいふれだしのあった一景は、実は子供だましのようなものであった。
— 寺田寅彦 『マーカス・ショーとレビュー式教育』 青空文庫
救護隊の屯所なども出来て白衣の天使や警官が往来し何となく物々しい気分が漂っていた。
— 寺田寅彦 『静岡地震被害見学記』 青空文庫
私もその物々しさに度を失はずにはゐられなかつた。
— 南部修太郎 『疑惑』 青空文庫
「――街ンなかを通る時にゃ、女をすっぼり頭からくるんどかないと、今日びの物々しい戒厳では、一寸、仕事がむずかしいからな。
— 黒島傳治 『武装せる市街』 青空文庫
その顔に一種の物々しさがあった。
— 黒島傳治 『氷河』 青空文庫