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身世

しんせい
名詞
1
標準
文例 · 用例
どんなふうにして手紙を上げたらいいのか、これきりとはあなただって思わないでしょう」 などと源氏が言うと、うき身世にやがて消えなば尋ねても草の原をば訪はじとや思ふ という様子にきわめて艶な所があった。
花宴 源氏物語 青空文庫
この秋には彼女も長く住みなれた東京を引揚げて、田舎へ帰らうとしてゐたほど、死に近づきつゝある身世の寂莫を感じてゐた。
徳田秋聲 余震の一夜 青空文庫
啄木、永く都塵に埋もれて、旦暮身世の怱忙に追はれ、意ならずして故郷の風色にそむくうちに、身は塵臭に染み、吟心また労をおぼえぬ。
石川啄木 閑天地 青空文庫
世尊諸|比丘に向いその因縁を説きたまわく、昔|迦葉仏入滅せるを諸人火葬し、舎利を収め塔を立てた時、居士女極めて渇仰して明鏡を塔の相輪中に繋ぎ、願わくはこの功徳もて後身世々わがある所の室処光明照耀日光のごとく、身に随れて出ん事をと念じた。
田原藤太竜宮入りの話 十二支考 青空文庫
そもそも洋学のもって洋学たるところや、天然に胚胎し、物理を格致し、人道を訓誨し、身世を営求するの業にして、真実無妄、細大備具せざるは無く、人として学ばざるべからざるの要務なれば、これを天真の学というて可ならんか。
福沢諭吉 慶応義塾の記 青空文庫
――花のいろはうつりにけりないたづらに、わが身世にふる眺めせしまに――千古の美人にも、この歎きがあるのじゃ、呉羽之介どの、そなたのその美くしさも、神ならぬ身のとこしなえではない。
三上於兎吉 艶容万年若衆 青空文庫
いたづらに 我が身世に経る ながめせしまに(古今巻二)起きもせず 寝もせで 夜を明しては、春の物とて ながめ暮しつ(古今巻十三)などのながめだと言ふかすれば、今の処正しい説と見られるだらう。
その外輪に沿うて 古代民謡の研究 青空文庫
その裏面を窺ふと、或は願後身世世、勿復生天王家(劉宋の順帝)といひ、或は願自今以往、不復生帝王家(隋の恭帝)といひ、似而非なる禪讓の犧牲となつた君主の境遇、眞に憐むべきものがあつても、兔に角形式の上では、堯舜の先例その儘になつて居れば、それで支那人は承知するのである。
桑原隲蔵 支那人の文弱と保守 青空文庫